Tyme Groupとは?
Tyme Groupは、南アフリカで発足し、現在はシンガポールに本社を置く「ネオバンク(デジタル専業銀行)」グループです。物理的な支店網を持たず、IT基盤を活用した低コスト・高利便性のデジタル銀行サービスを新興市場中心に展開しています。同社は「金融包摂(Financial Inclusion)」――つまり従来銀行口座を持てなかった人々にも手頃でアクセスしやすい金融サービスを提供することを主な使命としています。
沿革とビジネスモデル
創業の背景と初期フェーズ:
Tyme(「Take Your Money Everywhere」の略称)は2012年頃、南アフリカ国内で誕生しました。当初は低料金・簡易アカウント開設を可能にするテクノロジーを活用し、未銀行化層や低所得層への金融サービス提供を目指しました。その後、南アフリカ準備銀行から銀行免許を取得し、2019年に「TymeBank」として消費者向けの本格サービスを開始。短期間で数百万口座を獲得し、急成長を遂げています。戦略的パートナーシップと顧客獲得手法:
南アフリカ国内では、大手小売チェーン(Pick n PayやBoxer)と提携し、店内に設置したキオスクで即時に口座開設できる仕組みを整備。これにより、銀行窓口へ行く必要がなくなり、未銀行化層を含む幅広い層にリーチしています。料金体系を極めて低廉に抑え、ユーザーにとって利用しやすい「スマホ銀行」として人気を集めています。金融包摂と新興国マーケットへの注力:
Tyme Groupは未発達な金融インフラを抱える新興国での金融包摂に注力。デジタルチャネルによる低コスト・簡易なサービスモデルは、従来の支店ネットワーク構築コストを回避し、これまで金融サービスへのアクセスが限られていた層にアプローチできる点が強みです。
グローバル展開と最近の動向
ユニコーン化への道:
最近、ブラジルの大手フィンテック企業Nubankから約1億5000万ドルの出資を受け、評価額は15億ドルに到達。ユニコーン(未上場で10億ドル以上の評価額)入りが確実視されています。東南アジア進出:
フィリピンでは「GoTyme Bank」を立ち上げるなど、東南アジアでのビジネスを加速。スマートフォン普及と未銀行化層の多い同地域は、Tyme Groupにとって大きな成長機会であり、今後インドネシアなど他のアジア諸国への展開も見込まれます。
投資家層と経営体制
Tyme GroupはAfrican Rainbow Capitalなどの地域投資家に加え、Nubankなどグローバルなフィンテック投資家からの支援を得ています。シンガポール本拠地とすることでアジア市場へのアクセスも強化し、国際的な資本・ネットワークを背景に「金融包摂」モデルを世界に輸出しています。
まとめ
Tyme Groupは、南アフリカで確立したデジタルファースト・低コストモデルを軸に、新興国を中心に金融包摂を推進するグローバルフィンテック企業です。その急速な成長、ユニコーン化、そして東南アジアへの進出は、国際的なフィンテック市場において存在感を高める一例となっています。