fintech航海記

日本のフィンテックスタートアップ、エンジニアリングマネージャーを経て、アクセンチュアで経営コンサルティングに従事。現在は海外のフィンテック企業の事例を紹介するメディア「fintech航海記」

今週のフィンテックニュースまとめ:VisaとAffirm提携、Klarna IPO申請、Upstart収益増

VisaとAffirm、BNPLで提携

VisaはAffirmと提携し、BNPLオプションを組み合わせた新しいカードを導入しました。これは、消費者が即購入し後で分割払いできる柔軟な支払い需要に応えるものです。BNPL(Buy Now, Pay Later)は特に若い世代に人気があり、消費者が高額商品をより手軽に購入できるようにするため、VisaとAffirmの協力は、この市場での競争力強化に繋がる動きです。また、この機能はUAEのLiv Bankを通じても開始され、ヨーロッパへの展開も予定されており、国際的な広がりが期待されています。

Klarna、米国でIPO申請

スウェーデンフィンテック企業Klarnaは、米国証券取引委員会(SEC)にIPOの初期申請書を提出しました。これは、同社がアメリカ市場でのさらなる成長と資金調達を目指していることを示しています。Klarnaはヨーロッパで大成功を収めており、IPOは同社のビジネス拡大における重要な一歩となる可能性があります。SECの審査後、市場状況に応じて上場が進められ、投資家に新たな投資機会を提供することになります。

Upstart Holdings、好調な収益を報告

AIを活用した融資プラットフォームを提供するUpstart Holdingsは、予想を上回る収益を報告し、前年同期比20%増の1億6200万ドルを達成しました。同社のAIアルゴリズムは、従来の信用スコアリングに頼らない融資審査を可能にしており、これが市場での好調な成長に寄与しています。第4四半期の収益は1億8000万ドルと予測されており、これはアナリストの予想を上回る見通しです。Upstartの成功は、AI技術が金融業界においてどのように革新をもたらしているかの良い例です。

SoFi Technologies、株価急上昇

SoFi Technologiesの株価は、月曜日の取引で7.5%上昇し、13.99ドルに達しました。株価は5営業日連続で上昇しており、この期間に28%の増加を記録しています。この上昇は、1年以上ぶりの最高の5日間パフォーマンスであり、SoFiが新たに発表した収益報告や会員数の増加が投資家の信頼を引き出したことを示しています。SoFiはオンライン銀行やローン、投資サービスを提供しており、若い世代に人気があります。

Ualá、3億ドルの資金調達を達成

アルゼンチンのフィンテック企業Ualáは、3億ドルの資金調達を成功させ、評価額を27.5億ドルに引き上げました。この資金調達は、Allianz XとヘッジファンドマネージャーのAlan Howardが主導しており、近年のラテンアメリカで最大規模の1つです。Ualáは、ラテンアメリカでの金融包摂(financial inclusion)を目指しており、この地域の多くの人々にデジタル金融サービスへのアクセスを提供しています。今回の資金調達は、ラテンアメリカ市場での拡大と新たなサービスの導入を加速するものです。

Qonto、50億ユーロの評価額を目指す

フランスのフィンテック企業Qontoは、従業員や初期投資家が保有する株式の一部、少なくとも2億ユーロ分の売却交渉を進めています。この取引により、同社の評価額は50億ユーロに達する可能性があります。Qontoは中小企業やフリーランス向けのデジタルバンキングサービスを提供しており、欧州における中小企業の銀行業務を効率化することを目的としています。この動きは、同社の成長と評価額の上昇に対する市場の期待感を反映しています。

シンガポール中央銀行総裁がグローバルフィンテック非営利団体を設立

シンガポールの歴代最長の中央銀行総裁であるラヴィ・メノン氏が、新設の非営利団体「グローバルファイナンス&テクノロジーネットワーク」を率い、グローバルなフィンテックイノベーションと成長を推進しています。同組織は、政府や企業に対して地域のフィンテックニーズに対応するための助言を提供します。特に、新興市場におけるデジタル金融サービスの拡大や規制の適応に焦点を当て、世界的な金融包摂を促進することが目標です。

決済アプリを銀行口座として使用するリスク

Venmo、Cash App、Chimeなどの決済アプリを主要な銀行口座として使うことのリスクが指摘されています。これらのサービスはFDIC連邦預金保険公社)による保証がないため、利用者が経済的なリスクにさらされる可能性があります。特に、これらのアプリで保管されている資金が盗難や破綻などで失われた場合、従来の銀行のような保険やセーフティネットが存在しないことから、ユーザーにとって大きなリスクとなります。したがって、消費者はリスクと利便性をよく理解し、適切に利用することが求められています。